2024 .11.16
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なるべく加減をしようと思ったが、一房に束ねてひねり、ねじり上げるためにどうしても力がいる。
ぐん、と引っ張ると拮抗するように体勢を持ち直そうとする。
見えないためか、背中で起きていることの予測がつかないらしく時々間の抜けた声を上げる。
思ったとおり本人に似た強情な髪を結い上げ、崩れがないことを確認した。
「出来たぞ」
「ん、だいぶ涼しくなった」
振り返って見せた顔と、普段ちらりとしか見れないうなじが露になる。
「本当に一本でできるんだな」
「・・・ああ」
思わず見とれてしまったことを悟られないように適当に取り繕う。
鏡あるか?と聞いてきたので、鏡台の前に座らせ、大き目の鏡を持ってやる。
崩れるから触るなと教えていたからか、結わえた髪と簪をしきりに気にして、触れたそうに伸ばした指を直前で引っ込めることを繰り返している。
「綺麗だな・・・」
「そうだな」
ぽつりとした呟きに同意してやると、簪がだ!と怒鳴られた。どうやら意味の取り違えがバレたらしい。
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