2024 .11.16
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2013 .06.17
※捏造注意※
先生が先生する前、もっというとコンボイになる前の話
補足説明
A軍が雇った兵士(C)が「敵側にオレの仲間(D)がスパイとして潜入してるよ!」
B軍が雇った兵士(D)が「敵側にオレの仲間(C)がスパイとして潜入してるよ!」
実はCもDもE軍の間者でした
とある惑星のとある場所、
そこに今まさに飛び立たんとする戦艦がある。
乗船口に佇むのは2体の生命体。
「任務ご苦労だった」
そう言った方は船のハッチに足がける有機生命体。
無言で敬礼をしているのは機械の体をした生命体、トランスフォーマー。
「出来れば貴殿とは、これからも共に戦っていきたかったのだが・・・」
そう言われたはトランスフォーマーは、姿勢こそ崩さなかったが砕けた口調で返した。
「俺が付いて行ったらシグナルですぐに居場所がばれるだろう?」
軍人然とした有機生命体は、笑いこそすれ彼の無礼な態度を咎めることはしなかった。
「短い付き合いだったが、貴殿はきっと立派な戦士になれる。私が保証しよう」
有機生命体は踵を返し船に乗り込む。
「さらばだビッグ。いつかまた、廻りあう日まで!」
閉じられたハッチの向こうへ消えた有機生命体と共に、戦艦は遥か彼方へ飛び去った。
土煙が舞い、そうしてようやく収まったところでビッグは通信を入れた。
「――ロックバスター、こちらの任務は全て終わった」
ガヤガヤと喧しいその酒場の奥まった個室に二体のトランスフォーマーがいる。
「それじゃ、一足先に任務達成の祝杯を」
ロックバスターが酒の入ったグラスを掲げると、ビッグが怪訝そうな目を向ける。
「・・・いいのか?だってまだ」
「いいのいいの!酒の一杯や二杯、変わりはしないから!」
そう言う彼に押されて、ビッグも自分のグラスを掲げる。
「はい、カンパーイ」
グラスを打ち合わせ、ぐいっと飲み干す。
「ッハァ!久々の酒うっめえー!」
「任務地で飲む機会がなかったのか?」
「あー、あそこの連中お高くとまってる奴ばっかでさぁ。食いモンも小洒落たのばっかで量は少ないし味気ないし」
そこから延々と、ロックバスターの任務先での体験と愚痴が続いた。
「――で、あいつら最終的にオレに頼ってきたくせに次の日にはまた同じ態度でさぁ。あの時の情けない姿、あいつらの部下に暴露してやろうかと思ったね」
愚痴に軽く相槌を打ちつつ、二杯目の酒も空になってきた。
「もうホント、ああいう集団のとこはしばらく御免だわ。・・・で、お前のとこはどうだった訳?」
「え」
急に話を振られて、思わず間抜けな返事をしてしまった。
「どうっていうのは、」
「こっちの陣地でお前のこと話題になってたぜ、『戦場を跳梁跋扈する悪魔がいる』って」
「悪魔って・・・それはないんじゃないか」
そういってビッグは気にしたように、自身の頭部の左右から飛び出る突起物に触れた。
「ま、遠くから見りゃ立派な角だもんな!」
「笑うなよ、割と不便なんだぞコレ」
悪い悪いと謝ると、頬杖をついて下から見上げるような体勢になる。
「で、どうだった訳さ」
「そんなに聞きたいのか・・・?」
「そりゃあね。初々しい弟分が長期、潜入、スパイ活動!気になって仕方ないってもんさ」
あまり長く喋るのは好きではないから話したくはないが、ここで黙っても状況は変わらない。
ロックバスターは相変わらずじぃっとこちらを見ている。観念したように、ビッグは自分の任務先でのことを語った。
先程のこちらと同じように適当に相槌を打っているように見えるが、話の所々を指摘をされて、その部分の補足をする。
まるで誘導尋問だと思うが、不思議と嫌な気分ではない。
むしろ内側に溜めていた本音を諸々と共に引きずり出してくれるので、会話の後は気分が軽くなるのだ。
「お前が分隊ごとこっちの拠点を吹き飛ばしたときに、参謀に掴みかかられたぞ。お前のところのスパイはどういう神経をしているんだって」
「それを言うならオレの方もお前の暴れっぷりを見て、ホントに言うこと聞くんだろうなって聞いてきたぜ?」
「酷い言われようだな。一応優秀だからこそ敵に悟られないようこっちにも被害を出すんだって言っておいたが」
「まあオレも、デストロンの兵士よりは理性的ですよって言っといたから」
一瞬ビッグは不満げな表情を見せたが、すぐに会話を続けた。
最初は衝突してばかりだったこと、地位や階級でなく実力が評価されていること、実は気さくなやつらだったということ、一緒に来ないかと誘われたこと。
最後まで話し終えるとロックバスターは飲んでいたグラスを置いてうなずいた。
「結局美味しいところを持ってったのは我らがサイバトロンかぁ」
「狡賢いのはデストロンと変わらないな。戦闘の仲裁を名目に、敵対していた連中を銀河端まで追いやった訳だ」
「しかもオレたちをスパイとして送り込んで、敵方に味方が潜入してるって言って戦闘を長引かせて両者疲弊」
「弱っているところを法の名の下に叩く、か。まったく嫌な連中だ」
「そう言うなよ。お前の今回の働きが注目されれば、もしかしたらコンボイになれるかも知れないぜ?」
「コンボイって、アレか?上の連中に扱き使われて役に立たない部下と一緒に僻地に飛ばされる役職のことか?」
ビッグは盛大にため息をついて、テーブルに伏せた。
「出来ることなら任務先の連中について行きたかった・・・」
新米の傭兵のぼやきにロックバスターは同情的に笑うしかなかった。
「そう落ち込みなさんなって。この界隈、まだまだ面白いこと沢山あるんだぜ」
「・・・たとえば?」
「例えばな、デストロンの奴で噂になってるのがいるんだわ。切っても撃っても死にゃしないし頭が素晴らしく切れるっていう奴が」
「ふーん、どんなやつだ」
「名前までは聞こえてこないからまだ若い方なのかもな。話によると、そいつは空を飛べるとか海を泳いで襲ってきたとか、はたまた陸で大暴れしてたとか」
「なんだそれ、まるで話がかみ合ってないじゃないか」
「あくまで噂だからな、う・わ・さ。でもま、そういう嘘くさいのの中に本物がいたりするんだって」
胡散臭い話を聞かされた、ビッグはそう思いながら何杯目かの酒を飲み干して、店の入り口に目を向ける。
「・・・シャープエッジのやつ遅くないか?」
「奴さん、命令違反でこってり絞られ中」
「命令違反って」
「サイバトロン部隊の副隊長役、放り投げてお前さんのとこ一直線」
それでお上がおかんむり、と両鋏で角の真似をする。
「ああ、あれか。おかげで最後まで怪しまれずに済んだんだが」
ビッグはサイバトロン艦隊が仲裁に来たときに、真っ先に突撃してきたシャープエッジを思い出した。
「そりゃいいことで、あいつに聞かせてやんなよ。まあ、もうそろそろこっち来るでしょって噂をすれば」
ロックバスターが言い終わるか否か、覚えのあるシグナルが急接近してきた。
店のドアを突き破らんばかりの勢いでシャープエッジが飛び込んできた。
「ビッグうう!!ロックバスタああ!!」
「ようシャープエッジ、お疲れさん。とりあえず飲んで落ち着きなって」
「飲んでる場合じゃないんだ!ビッグ、グレートコンボイがお前をコンボイに正式に任命するから連れて来いって!!」
息も絶え絶えなシャープエッジのその台詞を聞いて、二人はしばし固まった。
しばらくしてからビッグがロックバスターの方に向き直り、一言。
「・・・お前の予言、当たったな」
ロックバスターはハハハと乾いた笑みを浮かべ、グラスを掲げた。
「あー・・・代金はこの一杯ということで」
先生が先生する前、もっというとコンボイになる前の話
補足説明
A軍が雇った兵士(C)が「敵側にオレの仲間(D)がスパイとして潜入してるよ!」
B軍が雇った兵士(D)が「敵側にオレの仲間(C)がスパイとして潜入してるよ!」
実はCもDもE軍の間者でした
とある惑星のとある場所、
そこに今まさに飛び立たんとする戦艦がある。
乗船口に佇むのは2体の生命体。
「任務ご苦労だった」
そう言った方は船のハッチに足がける有機生命体。
無言で敬礼をしているのは機械の体をした生命体、トランスフォーマー。
「出来れば貴殿とは、これからも共に戦っていきたかったのだが・・・」
そう言われたはトランスフォーマーは、姿勢こそ崩さなかったが砕けた口調で返した。
「俺が付いて行ったらシグナルですぐに居場所がばれるだろう?」
軍人然とした有機生命体は、笑いこそすれ彼の無礼な態度を咎めることはしなかった。
「短い付き合いだったが、貴殿はきっと立派な戦士になれる。私が保証しよう」
有機生命体は踵を返し船に乗り込む。
「さらばだビッグ。いつかまた、廻りあう日まで!」
閉じられたハッチの向こうへ消えた有機生命体と共に、戦艦は遥か彼方へ飛び去った。
土煙が舞い、そうしてようやく収まったところでビッグは通信を入れた。
「――ロックバスター、こちらの任務は全て終わった」
ガヤガヤと喧しいその酒場の奥まった個室に二体のトランスフォーマーがいる。
「それじゃ、一足先に任務達成の祝杯を」
ロックバスターが酒の入ったグラスを掲げると、ビッグが怪訝そうな目を向ける。
「・・・いいのか?だってまだ」
「いいのいいの!酒の一杯や二杯、変わりはしないから!」
そう言う彼に押されて、ビッグも自分のグラスを掲げる。
「はい、カンパーイ」
グラスを打ち合わせ、ぐいっと飲み干す。
「ッハァ!久々の酒うっめえー!」
「任務地で飲む機会がなかったのか?」
「あー、あそこの連中お高くとまってる奴ばっかでさぁ。食いモンも小洒落たのばっかで量は少ないし味気ないし」
そこから延々と、ロックバスターの任務先での体験と愚痴が続いた。
「――で、あいつら最終的にオレに頼ってきたくせに次の日にはまた同じ態度でさぁ。あの時の情けない姿、あいつらの部下に暴露してやろうかと思ったね」
愚痴に軽く相槌を打ちつつ、二杯目の酒も空になってきた。
「もうホント、ああいう集団のとこはしばらく御免だわ。・・・で、お前のとこはどうだった訳?」
「え」
急に話を振られて、思わず間抜けな返事をしてしまった。
「どうっていうのは、」
「こっちの陣地でお前のこと話題になってたぜ、『戦場を跳梁跋扈する悪魔がいる』って」
「悪魔って・・・それはないんじゃないか」
そういってビッグは気にしたように、自身の頭部の左右から飛び出る突起物に触れた。
「ま、遠くから見りゃ立派な角だもんな!」
「笑うなよ、割と不便なんだぞコレ」
悪い悪いと謝ると、頬杖をついて下から見上げるような体勢になる。
「で、どうだった訳さ」
「そんなに聞きたいのか・・・?」
「そりゃあね。初々しい弟分が長期、潜入、スパイ活動!気になって仕方ないってもんさ」
あまり長く喋るのは好きではないから話したくはないが、ここで黙っても状況は変わらない。
ロックバスターは相変わらずじぃっとこちらを見ている。観念したように、ビッグは自分の任務先でのことを語った。
先程のこちらと同じように適当に相槌を打っているように見えるが、話の所々を指摘をされて、その部分の補足をする。
まるで誘導尋問だと思うが、不思議と嫌な気分ではない。
むしろ内側に溜めていた本音を諸々と共に引きずり出してくれるので、会話の後は気分が軽くなるのだ。
「お前が分隊ごとこっちの拠点を吹き飛ばしたときに、参謀に掴みかかられたぞ。お前のところのスパイはどういう神経をしているんだって」
「それを言うならオレの方もお前の暴れっぷりを見て、ホントに言うこと聞くんだろうなって聞いてきたぜ?」
「酷い言われようだな。一応優秀だからこそ敵に悟られないようこっちにも被害を出すんだって言っておいたが」
「まあオレも、デストロンの兵士よりは理性的ですよって言っといたから」
一瞬ビッグは不満げな表情を見せたが、すぐに会話を続けた。
最初は衝突してばかりだったこと、地位や階級でなく実力が評価されていること、実は気さくなやつらだったということ、一緒に来ないかと誘われたこと。
最後まで話し終えるとロックバスターは飲んでいたグラスを置いてうなずいた。
「結局美味しいところを持ってったのは我らがサイバトロンかぁ」
「狡賢いのはデストロンと変わらないな。戦闘の仲裁を名目に、敵対していた連中を銀河端まで追いやった訳だ」
「しかもオレたちをスパイとして送り込んで、敵方に味方が潜入してるって言って戦闘を長引かせて両者疲弊」
「弱っているところを法の名の下に叩く、か。まったく嫌な連中だ」
「そう言うなよ。お前の今回の働きが注目されれば、もしかしたらコンボイになれるかも知れないぜ?」
「コンボイって、アレか?上の連中に扱き使われて役に立たない部下と一緒に僻地に飛ばされる役職のことか?」
ビッグは盛大にため息をついて、テーブルに伏せた。
「出来ることなら任務先の連中について行きたかった・・・」
新米の傭兵のぼやきにロックバスターは同情的に笑うしかなかった。
「そう落ち込みなさんなって。この界隈、まだまだ面白いこと沢山あるんだぜ」
「・・・たとえば?」
「例えばな、デストロンの奴で噂になってるのがいるんだわ。切っても撃っても死にゃしないし頭が素晴らしく切れるっていう奴が」
「ふーん、どんなやつだ」
「名前までは聞こえてこないからまだ若い方なのかもな。話によると、そいつは空を飛べるとか海を泳いで襲ってきたとか、はたまた陸で大暴れしてたとか」
「なんだそれ、まるで話がかみ合ってないじゃないか」
「あくまで噂だからな、う・わ・さ。でもま、そういう嘘くさいのの中に本物がいたりするんだって」
胡散臭い話を聞かされた、ビッグはそう思いながら何杯目かの酒を飲み干して、店の入り口に目を向ける。
「・・・シャープエッジのやつ遅くないか?」
「奴さん、命令違反でこってり絞られ中」
「命令違反って」
「サイバトロン部隊の副隊長役、放り投げてお前さんのとこ一直線」
それでお上がおかんむり、と両鋏で角の真似をする。
「ああ、あれか。おかげで最後まで怪しまれずに済んだんだが」
ビッグはサイバトロン艦隊が仲裁に来たときに、真っ先に突撃してきたシャープエッジを思い出した。
「そりゃいいことで、あいつに聞かせてやんなよ。まあ、もうそろそろこっち来るでしょって噂をすれば」
ロックバスターが言い終わるか否か、覚えのあるシグナルが急接近してきた。
店のドアを突き破らんばかりの勢いでシャープエッジが飛び込んできた。
「ビッグうう!!ロックバスタああ!!」
「ようシャープエッジ、お疲れさん。とりあえず飲んで落ち着きなって」
「飲んでる場合じゃないんだ!ビッグ、グレートコンボイがお前をコンボイに正式に任命するから連れて来いって!!」
息も絶え絶えなシャープエッジのその台詞を聞いて、二人はしばし固まった。
しばらくしてからビッグがロックバスターの方に向き直り、一言。
「・・・お前の予言、当たったな」
ロックバスターはハハハと乾いた笑みを浮かべ、グラスを掲げた。
「あー・・・代金はこの一杯ということで」
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