LoveToInorganicLife

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日も昇らない暗い堤防に金属二つ
「こんなに暗いのに釣れるのか？」
「この時間こそよく釣れるのさ」
おたくは頭がいいのにこういうことは知らないんだな
橙色の機体に指摘された青色の機体は少しだけ不機嫌そうだ

本当なのか確認する、彼はそう言うと橙色の機体の隣に腰を下ろした
ネットで調べればいいのになんて思いながらも、波の音が聞こえるだけのこの場所で二人っきりなのも悪くない
小柄な橙色と大きな青色はそんな風に思う

「なあ、ウルトラマグナス。地球人の涙はしょっぱいらしいぞ」
この海と同じように、なんて付け加えると青い機体は小難しい顔で言う
「正確には涙と海水の成分は違う。まず各々の塩分濃度が」

わかった、もういい。いや結構。
辟易した表情で有難い講義を打ち切る
「おたくには情緒とかロマンはないのかね」
「ホットロッド、私はそういうのは似合わないと自覚しているよ」

そうして波音の間に他愛の無い話を織り交ぜながら時間が過ぎていった

「朝だ」
どちらかが、多分どっちもだろうが海が白けて鳥の声が聞こえてきたからそう言った
「結局何も釣れていないが」
「うるさくて近寄らなかったんだよ、おしゃべりし過ぎたからさ」
ピンとも動かなかった釣り糸を回収しながら大きな欠伸をする

「眠いアピールは構わないがね、今日もたくさんの仕事があるわけだ」
そうして大事にしまっていた叡智の光を差し出した
「…おたく、情緒どころか空気も読んでくれないよね」
「私の役割だからね。さあ帰ろうか、ロディマス司令官」
今日も一日がはじまる